NYMEX原油12月限終値:90.46↑3.36
RBOBガソリン11月限:2.2358↑0.0885
暖房油11月限:2.4084↑0.0664
原油は大幅続伸。前日発表された原油在庫の大幅取り崩しが改めて材料視されたほか、中東情勢の緊迫が買いに拍車を掛ける格好となり3ドル以上上昇、一気に史上最高値を更新した。前日の流れを継いだ買いが先行し88ドル台を大きく上抜けて取引を開始。取引前半は値動きも比較的控えめだったが、トルコへのパイプライン輸送を停止するとのイラク議会議長の発言を手掛かりに中盤以降は上げ幅を拡大、最後は90ドルの大台もあっさりと上抜けた。
本日は2つの経済制裁のニュースが相場を大きく動かす要因となった。朝方には米国がイランに対する新たな経済制裁を発表、その後トルコがイラク北部に対する経済制裁を行えばトルコにつながる石油パイプラインを閉鎖するとイラク議会の議長が警告を発したことが伝わり、中東の情勢不安が一気に高まった。
米国のイラン制裁はこれまでにも色々な試みが行われており、特に新鮮味もないし、ロシアのプーチンがすぐに否定的なコメントを出すなど国際的な協力を得られる可能性も低く、材料としてはそれほど大きなものではない。しかしイラク議会議長の発言は、少し大きく見ておいた方が良いだろう。
イラク北部のパイプラインはこれまでの武装勢力の攻撃により稼動と停止を繰り返しており、これが閉鎖されたからといって特に需給に大きな影響を与えるわけではない。しかし、これまではトルコとイラク北部のクルド労働者党(PKK)の問題だったのが、議長の発言で国家間の緊張につながる可能性が出てきたからだ。イラクの後ろ盾になっている米国が対応を誤れば これが中東全体の情勢不安に発展する可能性もないとは言えず、そうした不安が今後も相場の大きな支えとなると考えられる。
本日はそのほか、タンカー調査のオイルムーブメントが11月10日までのOPEC石油輸出が1ヶ月前から日量で2万バレルしか増えないとの見通しを出したことも強気に働いた。OPECは11月から日量50万バレルの増産を行うことから、市場ではかなり輸出が増えるのではとの期待があっただけに影響も大きかった。前日の在庫統計で原油が500万バレル以上取り崩されたことで需給逼迫懸念が高まっていたことも、このニュースに大きく反応する背景にあったのだろう。
相場はこれで本格的に1バレル90ドルの大台に乗せてきた。ここまで来れば100ドルの節目も案外早く到達するかも知れない。市場は強気のニュースにことごとく敏感に反応するようになっている。実際の内容はともかくとして今後も買いを煽るような材料が途切れずに出てくるようなら、月末のFOMCで予想通り追加利下げが行われ、ドル安が更に進行するのが前提ながら、来月半ばあたりまでに実現する可能性もあるだろう。
今日の材料
・ トルコの圧力加われば石油パイプライン閉鎖も、イラク議会議長
・ OPECは追加増産の協議にまだ入っていない、インドネシア代表
・ OPECは追加増産について協議していない、事務総長
・ 24日付のOPECバスケット価格は80.55ドルと前日から0.44ドル上昇