2007年1月7日(日)
エグゼンプションとビールのメニュー [まじめなお話]
専門職などで一定の条件を満たした従業員に対しては残業代を支払わなくても良くなる、エクゼンプションという制度の導入が日本でも検討されてるようやけど、労働者の反対が強く雲行きは怪しいらしい。
米国では既に導入されてるけど、去年(やったかな)この制度の適用範囲を広げる法案が可決され、少し論議を呼んだ覚えがある。マーケットアナリストなどは完全な専門職で、前にやっとった会社でも残業代が出ることはなかった。
同程度の内容のレポートでも、1時間で仕上げるやつもおるし、3時間掛けてまったく書けんやつもおる。残業代が出るとしたら、当然ながら後者の出来ん方に支払われることになる。経営する立場からいうとやはりよう出来る方に多く給料を上げたいけど、残業代を考えれば、基本給に相当差をつけんとバランスが取られへん。基本給にも相場ちゅうもんがあるから、出来ん方を大きく下げることもままならんし、結果的には全体の人件費が大きく上がるか、優秀なスタッフの不満が積もるかのどっちかになってしまう。エクゼンプション抜きでの情報会社の経営は、なかなか難しいもんがある。
また雇われてる方でも、お金なんかいらんからこの仕事だけは残業してでもやり遂げたい、というのもあるやろう。こういう傾向はプロフェッショナルな職種ほど強いから、やっぱりエクゼンプションはあったほうがええ。
反対しとる連中は、サービス残業を追認する形になるからこの先更に残業が増え、過労死につながるというとるらしい。たまに日本に帰るといつも思うのが、みんな遅うまでよう働くなーということ。ちょっと嫌らしい言い方をしたら、昼間はのんびりで定時が終わってから本腰を入れ始めるとい感じもせんでもない。どっちにしても、これ以上どこに残業が増える余地があんねんやろう?
全ての仕事から残業がなくなるわけではない。これは、はっきりいって選択の問題や。エグゼンプションの職種と、残業代が出る職種、どっちを選ぶかは働くもんの自由。最初に納得して働き始めれば、たとえ週に20時間残業したとしても文句はないはずや。残業代がでえへんとなれば、雇う方も残業せえ、とは強く言いにくくなる。エグゼンプションの仕事をしたいけど、残業代も欲しいという厚かましいやつには、速やかに退出を願おう。
ただ、そうした選択の余地が極端に狭いのが日本の社会。エグゼンプションが導入されたとしても、それに対する情報も十分に与えられず訳の分からんまま就職する若いもんがほとんどやろう。それやったらトラブルが増えるだけ、やめといた方がええ。
こっちの飲み屋に来ると、わしの好きなビールが何種類もおいてあり、そんなかから気に入ったもんを選んで飲める。バーテンに知らん銘柄について質問したら、ほぼ確実に試し飲みさせてくれて、懇切丁寧に説明してくれる。一方、日本はというと、いまだに「とりあえずビール」としか言われへんところが多い。
投資に関する勧誘も同じ。リスクを含め、投資商品に対する十分な説明を受けんまま、「あんたに任すわ」といってブローカーの進めるままにお金を渡す人がどれだけ多いか。「おまかせ」の文化にどっぷりと使ってる人は、自分で情報を仕入れて選択しようという、という気にならんらしい。
選択肢を十分に提供せえへん方も方やけど、すぐに「おまかせ」を欲しがる方も問題がある。エクゼンプションの導入は、飲み屋のビールのメニューが増えてからの方がええんかもしれん。
Posted by 松
コメント
これを書いてからちょっと色々と見てみると、
結構エグゼンプションに反対の意見が多いのにびっくり。
で、その理由を見てみると、どうやら事務職は全て当てはまるような話になってる。
そんなめちゃくちゃな話、アメリカでもあらへん。
どの職種にエクゼンプションを適用するのかは、企業の判断、それを前提に働くかを考えるのが従業員。そういう選択肢がどっかへ行ってしもたみたいや。
やっぱりメニューは多い方がええと思うねんけどね。
そやね。日本人は子供の時から考えんで生きている人多いからね。大人になってから考えろちゅうのも酷かもしれん。だから「まずビール」が常識や。先日、友人の誕生会に30歳の独身イタリア人の女の子がきとって、同席した日本人男性が「そろそろあんたも30だから結婚したほうがええんちゃうん」言ったら、イタリア人の女の子に質問攻めにあっとった。30になったらそろそろちゅう彼の中の常識を彼自身理解しとらんかったみたいやね。男性は何も考えとらんから、何にも答えられへん。まあワシも同類だが、相場初めて良かったのは自分のケツは自分で拭かなあかんことを自覚してきたことやね。今後、物事の本質をきちんと見極めたいもんや。失敗は人生の最大の教訓だから、失敗しながらじゃないと本質はみえてこん。