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2007年11月08日(木)

FRB議長、来年にかけての経済成長鈍化見通す
  [要人発言]

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は8日に米上下両院合同経済委員会で証言し、今年10-12月期に景気が著しく減速し、来年にかけて成長鈍化が続くとの見通しを示した。最近は経済活動が底堅いことを示す統計が並んだと認識。しかし、サブプライムローンの多くが優遇金利適用がなくなる金利のリセット(切り替え)時期を迎えるのに伴って延滞も一段と増加、住宅市場はさらなる弱含みが必至との見解である。

ただし、議長は議員からの住宅問題によるほかの経済セクターへの影響に関する質問には限定的と答え、また来年春には住宅市場の底入れを見込んでいると述べた。また景気後退の確率についての返答を避けるとともに、経済は来年成長を続けると強調した。雇用が堅調なうえ、輸出は経済の原動力としての役割を維持するとも述べた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は景気の下振れリスクが高まったことに着目して8月に公定歩合を引き下げ、9月の会合では金融収縮を抑えるとともに景気への影響が広がることも懸念してフェデラルファンド(FF)金利を0.5ポイント引き下げたと解説。10月末の会合では7 -9月期の米実質国内総生産(GDP)が3.9%増加したのをみたものの、成長持続は難しく目先の景気停滞は必至と判断したという。物価はコア部分もあわせて来年にかけての安定を見越してはいるが、原油をはじめとする商品相場の高騰とドル下落からインフレ上昇リスクも拭えないと慎重な見方を示した。

議長はとりあえず10月に0.25ポイントの追加利下げを行ない景気の下支えを図ることに決めたとコメント。この政策決定以降は金融市場がなお不安定なうえ、住宅ローン絡みのニュースが投資家の気を揉ませ、反面、原油一段高がインフレ上昇圧力をさらに強めて経済的な影響を警戒させていると述べた。このため、将来の金融政策については景気と物価を両にらみして運営する方針を示した。

住宅市場に関する見解を求めた質問が続いたが、バーナンキ議長は中長期見通しには前向きなことをみせたといえる。住宅ストックの増加余地はさほど大きくないと見通し、これは新規住宅着工の減少が理由とした。この他、サブプライムローンに絡んだ損失は約1500億ドルと推定したが、全て金融市場で発生するものではないとも指摘。住宅市場は4-6月期に底打ちすると予想。また、インフレと景気減速のリスクに挟まれた微妙な状態にあるが、1970年代にみられた景気弱含みと高失業率、物価上昇の同時発生に近付いているわけではないと明言した。

議長はこのほか、中国による外貨準備の分散投資観測についてたずねられると、懸念していないと答えた。また、ドルが世界の外貨準備で最高のシェアを保つとの見方を示唆。米経済、米国の解放した金融市場を背景にドル投資は健全と評価した。一方で、当局はドル安がインフレを引き起こさないように対応するとも述べた。

Posted by 直   

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