2008年01月10日(木)
FRB議長、積極的な金融緩和に前向き姿勢示す
[要人発言]
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は10日の講演で、景気の下振れリスクが高まっていることを認識し、積極的な金融緩和にも前向きな姿勢を示した。相次ぐ弱気の経済指標がさらなる景気減速のサインであることを示唆。追加利下げが必要かもしれないと言及した。ただし、利下げ時期や金利の引き下げ幅など具体的に触れることは避けた。
バーナンキ議長は予想を大きく下回った昨年12月の雇用統計に関して単月のデータを深読みするべきではないとしながらも、雇用情勢がさらに弱含むなら経済的な影響も大きくなると指摘。特に、消費者が支出を減らすことが最大の懸念という。また、住宅需要がさらに縮小したようだともコメント。住宅価格の下落や石油高、株安なども個人消費に重しとなる可能性があると述べた。
物価についてはインフレ期待はなお落ち着いているとの見解であった。しかし、石油高が消費者物価全般を押し上げており、コア部分にも上昇圧力を強めているとも発言。当局には物価安定化の目標もあることを強調しながら、景気減速とインフレ台頭は当局の政策運営を困難にさせるとも告白した。
バーナンキ議長は先月から始めた金融市場への短期資金供給をひとまず効果的と評価した。改めて必要な限り供給を続けると述べ、FRBの舵取り道具の一つとする意向も示した。
議長は慎重な景気姿勢をみせたが、リセッションは回避するだろうと述べた。講演後の質疑応答ではリセッション入りしたとしても、後で経済指標などから判明することだとも加えた。このほか、金融政策は政治や大統領選に左右されることはないと独立性を強調する発言もした。
Posted by 直