2007年01月08日(月)
インフレへの警戒感を緩めるのは時期尚早、FRB副議長
[要人発言]
連邦準備制度理事会のコーン副議長は8日、アトランタの経済会議で講演を行い、インフレへの警戒感を緩めるのは時期尚早と、物価上昇に対する過度の楽観論を牽制した。
2006年後半の経済の低迷は住宅市場と自動車業界の落ち込み、製造業の低迷によってもたらされたとした上で、在庫が過剰になっていることなどを理由に住宅市場はまだ最悪期を脱していない可能性があるとの懸念を示した。住宅着工は底に近いとは思われるが、目先は落ち込む可能性が高いと指摘。住宅価格は大きく下がったものの、家賃や金利の水準から見ると依然割高、建築許可の落ち込みに比べ在庫の取り崩しペースが遅いことなどを理由に挙げている。
インフレについては、最近の指標には良い傾向が見えているものの、まだ警戒感を解くには早いと指摘。06年の賃金の上昇が消費者物価の上昇を大きく上回ったことなどを挙げ、労働市場の逼迫がインフレにつながる懸念を改めて示した。コアインフレは前年に比べ依然として高く、最近のスローダウンは短期的な理由によるものの可能性が高く、インフレ圧力の低下を示しているわけではないかもしれないという。
また、講演後の質疑応答では長短金利差の逆転について言及。FEDはこの問題に注意を払ってはいるが、市場は従来と違うメッセージを発していると、以前のように金利差逆転が景気落ち込みにつながるわけではないとの見方を示した。長期金利が低水準にあるのは、それだけインフレへの懸念が低いことを意味するとも述べている。また、家計の貯蓄率がマイナスに落ち込んでいるのは、住宅市場の上昇を受けのものと分析。今後人々は(住宅に)頼ることをやめ、貯蓄を増やすだろうと、貯蓄率が上昇することを予想した。
Posted by 松