2008年06月05日(木)
ECB総裁、物価安定リスクの高まりを指摘
欧州中央銀行(ECB)のトリシエ総裁は5日に開いた理事会後の定例会見で、物価安定リスクが食品や石油の価格高騰による影響から当初見通し以上に高まっていると述べ、ECBの警戒も強まったままであることを指摘した。また、確定ではないとしながらも7月の利上げの可能性があると言及。トリシエ総裁によると、本日の理事会でも一部メンバーが利上げ実施を主張していた。最終的に金利据え置きを決めたものの、総裁はECBが目先、インフレ防止に努める意向にあることを示唆した。
総裁は、ユーロ圏経済を健全と評価した。失業率が25年ぶりの低水準に下がり、労働力への参加率も著しく上昇といい、雇用情勢は堅調とコメント。稼働率も高く、また金融以外での収益力が保たれているとも記し、可処分所得の増加につながるとも見通した。ただ、エネルギーや食品の値上がりで購買力が落ちていることも認識した。
ECBは2008年のユーロ圏成長率について1.5-2.1%と、3月時点での予想レンジ上限を見通していると述べた。 1-3月期の経済成長が事前予想を上回ったのを理由に挙げている。しかし、2009年については商品高を反映して10-2.0%の伸び率に下方修正したという。消費者物価指数(HICP)でみたインフレはここ数ヶ月間、3%を超えており、目先も3%以上になると予想。総裁は、ECB内で2008年の HICPが3.2-3.6%、2009年に1.8-3.0%と3月時点での見通しより高めのインフレを見越していることを明かした。
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