2008年09月05日(金)
8月非農業雇用数は前月から8.4万人減少、予想上回る落ち込み
[経済指標]
米労働省が発表した8月の非農業雇用数は前月比8万4000人減った。8ヶ月連続マイナスとなり、また減少幅は市場予想を上回る。また、7月の前月比が速報段階での5万1000人から6万人に改定となり、6月分は従来推定で5万1000 人だったのが10万人に広がった。雇用は今年に入ってあわせて60万5000人減少し、月平均7万 5000人のマイナスである。
8月は民間だけに絞って10万1000人減り、昨年12月から9ヶ月連続ダウンとなる。また、この間で10万以上に減少したのは4回目である。カテゴリー別でもほぼ軒並み前月比マイナスだった。
鉱業や建設を含めた製造業全体の雇用は5万7000人減った。17ヶ月連続ダウンで、前月以上のマイナス幅だ。しかも、製造業だけだと6万1000人と 2003年7月以来の大幅減少だった。耐久財が5万5000人ダウンとなり、やはり2003年7月以降みることのなかった大きなマイナスである。主因は自動車および部品メーカーでのレイオフ拡大。3万9000人落ち込み、1998年7月以来の大幅減となる。ほかの耐久財では木製品や一次金属、家具などの削減が目立った。一方、ハイテク関連では前月比プラスが並んだ。
非耐久財が前月を6000人下回った。前月に1万7000人(修正値)と 2006年10月以来の大きな落ち込みとなったのから削減ペースが鈍化。業種別で大勢は前月割れだが、その中でテキスタイルが700人、アパレルが200 人とそれぞれ小幅にも約1年ぶりの増加に転じた。
建設が8000人ダウンである。昨年8月からの減少基調を維持したが、この間で最も小さいマイナスだった。住宅建設での雇用が4400人のマイナスで、昨年6月以来の小幅減少。商業用は2900人と2ヶ月連続増加した。天然資源・鉱業の雇用が1万2000人アップとなり、これは1989年8月以来の大幅増加だ。
サービス業は2万7000人減った。6月の前月比改定により3ヶ月連続マイナスで、またちょうど5年ぶりの大幅減少である。また、民間だけに限って4万4000人落ち込み、今年2回目の4万を超える減少だ。
民間サービスで最も規模の大きい小売は9ヶ月連続減少し、また1万9900人と3ヶ月ぶりの大幅マイナスである。このうち自動車ディーラー、飲食店でそれぞれ1万以上減り、百貨店や健康管理関連での需要後退も目立つ。輸送サービスでは4300人と4ヶ月続けて減少。航空、鉄道、海上と揃って前月割れだったが、トラック輸送は増えた。
金融関連が前月と同じく3000人減った。これで5ヶ月連続のマイナス。保険やクレジット関連での需要が落ちた。しかし、証券は4000人増加。4ヶ月ぶりのプラス転換であり、また昨年5月以来の大幅増加だった。不動産は500人ダウンで、前月の3分の1も下回る減少。賃貸・リースサービスで600人減った。
プロフェッショナルサービスが5万3000人減った。5ヶ月ぶりの大幅マイナスである。中でもさえなかったのが事務関連。また、このカテゴリーに入る短期派遣が3万6900人減り、今年2番目の大きな減少となった。一方、会計やコンピューターシステムデザインなどは増加した。
娯楽が4000人減少した。7月分も速報で増加だったのから5000人ダウンに改定で、2ヶ月連続して前月を下回ったのは2005年9-10月以来となる。ただ、減少はホテルの8300人だけで、美術館や劇場、遊園地、外食サービスはそれぞれ前月比プラスだった。
サービスで需要が堅調だったのは教育、医療である。教育だけで1万6300人増え、医療管理は2万6900人増。
政府雇用が1万7000人増えた。7月の6000人増(修正値)よりペースが速まった。ただし、連邦レベルでは郵便局の需要ダウンを反映して1000人と1月以来のマイナスだった。州政府と地方政府での需要増加で補った格好である。
週間平均労働時間は33.7時間となった。7月分が速報での33.6時間から33.7時間に改定となり、8月は横ばい。市場予想とも一致した。時間あたり賃金は前月比0.39%上昇した。賃金伸び率も7月分が速報値0.33%から0.39%に上方修正となり、この結果8月は前月から変わらず。市場予想よりやや高めの伸びである。賃金は前年同月と比較して3.60%上がった。前年比伸び率は3月以来の高水準だ。
Posted by 直