2006年11月28日(火)
インフレ沈静化見通しの根拠は極めて不安定、FRB議長
[要人発言]
バーナンキFRB議長は28日、NYのイタリアン・アメリカン財団で講演を行い、米景気は今後持続可能な成長率と同等かやや下回るペースで穏やかに伸びていくと、これまでのFEDの見通しを繰り返した。
インフレについては、消費者物価指数のコア部分はここ数ヶ月沈静化しているものの、絶対的な水準は依然として容認できない高水準にあると、警戒感を弱めることはなかった。エネルギーをはじめとした商品価格が高値から値を戻したことにより、コアインフレも穏やかに沈静化、住居コストや資本コスト、労働コストの伸びも恐らくスローダウンするとの見通しを示した。しかしながら、これらの予測の根拠になっている条件は極めて不安定であるとも付け加えている。
住宅市場の調整が更に進むことにより、建設業など住宅関連の雇用に悪影響が出ることや、資産価格の目減りから消費者心理が落ち込むリスクを指摘する一方、雇用の伸びが堅調なことや失業率の低下、好調な設備投資を受けて、経済成長が現時点での予想以上となる可能性にも触れている。
・・・議長はインフレ要因として、住居費や労働コストの上昇を改めて指摘、住居費では帰属家賃が年4%以上の上昇となっていることを挙げている。GDPの押し上げる2つの大きな要因は労働力の増加と労働生産性の上昇とした上で、雇用の伸びはこの先スローダウンすると予想。労働生産性については依然として楽観的としながらも、これまでのように安定した高成長は望めないとしている。
インフレ要因からは既にエネルギー価格の上昇が消えており、このところの住宅市場の落ち込みで住居コストも隅に追いやられるだろう。となれば、残る労働コストに大きな注目が集まることは必至、来月8日に発表される11月の雇用統計からますます目が離せなくなってきた。
Posted by 松